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日本最大のヒトデ類ダイオウゴカクヒトデ(Mariaster giganteus)の新産地

かな~り前にヒトデの論文を届けてくれたという記事がありましが、そのうちの1つを久しぶりに紹介してみたいと思います。

 

要約

2008年12月に九州西西岸甑島列島北西沖の水深493-600m、また2009年6月に奄美大島西北西沖水深598-605mにおいて長崎大学水産学部「長崎丸」のビームトロール曳網により、ゴカクヒトデ科ヒトデ類 Mariaster giganteus を3個体採集した。

本種は1914年に相模湾から記載された後、採集報告に乏しく、わずかに熊野灘や土佐湾で数個体記録があるのみであったが、今回の調査で東シナ海における分布が確認された。採集標本の最大輻長は402mmに達したが、これは日本産ヒトデ類の中でも最大サイズの記録である。

本種はきわめて大型に成長することから、その和名をダイオウゴカクヒトデと改称した。

 

ダイオウゴカクヒトデゴカクヒトデ科!

これは僕が好きなヒトデの種類です。

なにが素敵って、綺麗な五放射相称の形が素晴らしい★

だが、このダイオウゴカクヒトデは腕が非常に細長くて、ちょっと残念。

もうちょっと短い方が好みです。

 

…そんな個人的な形フェチの話はどうでもよくて、非常にレアなヒトデですね。

新日本動物図鑑(大島・林,1965)でも、学名の読みが載ってるだけで、おそらく長い間実物を見た人はいなかったようです。

深海に生息するヒトデは個体数が集まらないので、最初に原記載されてから研究が進まないことが多々あったりします。前に紹介したホソコトゲヒトデも30年ぶりの発見でしたからね。

 

今回のダイオウゴカクヒトデもそんな、海の底にひっそりと佇むひきこもりなわけです。

水深493-600mとなるとビームトロール曳網の研究の船や底引き網漁船の力を借りてなしには採集ができませんからね。で、今回の発見で「相模湾」「熊野灘」「土佐湾」に続き『東シナ海』にも分布していることがわかったそうです。おめでとう、東シナ海!

 

しかし、船から引き上げた網の中にこんなどでかいヒトデが入ってるとワクワクしますね!

3個体採れた内、一番大きいので輻長(R:盤中心から腕先端までの長さ)が402mm。

 

402mm……40cm!?Σ(゚Д゚)

まじかー改めて想像するとかなりでかい。

僕が採集した中で一番大きかったのは、このニチリンヒトデなんですが、写真を見る限り一番大きいので輻長が250mmほど。それよりおよそ2倍とは…恐るべし…ダイオウゴカクヒトデ。

 

まさに「ダイオウ」と関するにふさわしい大きさである。

そのうち、NHKスペシャルで、ダイオウイカ特集と同じようにダイオウゴカクヒトデ特集が行われるに違いないと思うと、胸熱である。大人気まちがいなしやで。

 

ダイオウゴカクヒトデ論文

 

★今回読んだ論文★

日本最大のヒトデ類ダイオウゴカクヒトデ(Mariaster giganteus)の新産地
木暮 陽一 ・ 橋本 惇 ・ 森井 康宏

New localities of Mariaster giganteus(Echinodermata, Asteroidea, Valvatida), one of the largest sea star species in Japanese waters

論文をお送りくださった、木暮博士はヒトデ分類学を専門にしており、日本周辺のヒトデ類を網羅的に収集、記載しておられます。僕がいた研究室の大先輩です。ありがとうございます。

 

 

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